高く、遠くに打つ? ~論理的思考を養う~
アドバイスの時に「もっとクリアを高く、遠くに」、「ロブを高く、遠くに」、「サービスを高く、遠くに」など、高く、遠くに打つことを指示している場面が多くみられます
選手(子ども)からしてみれば、「高く、遠くに打てるなら打ってるよ」と思うのではないでしょうか
また、「どれくらい高く、遠くに打てば良いの?」とも思うかもしれません
コーチ、保護者に注意されないように単に高く、遠くに打っている選手もいます
この指導の仕方では論理的思考は養われません
どうしたら高く、遠くに打てるのかを考えさせることが大切です
①ラケットワークやフットワークなど、自身の態勢(フォーム)を考える
→力学的に望ましい打ち方を行います
②相手の返球を予測できているかを考える
→良い態勢で打つためには相手の返球を予測し、動き出しを早くします
③相手のストロークを制限する
→相手の技術レベルが高い場合は、良い態勢を作るために(①)、予測(②)をして動き出しを早くしようと試みても上手くいきません
その場合は低い軌道のショットを放ち、相手に意図的にスマッシュをストレートに打たせるなどして、コースを制限させて予測しやすい状況を作ります
④デセプション(惑わす)をする
→相手の動き出しを遅くして、良い態勢で打たせないようにするためにデセプションを行います
相手の態勢が悪くなれば返球も甘くなり、自身が良い態勢で打てるようになります
勝ち負けに左右されず、課題を論理的に考えさせ、試合させることで学びが得られます
単に「高く、遠くに打ちなさい」と結果主義的な指導法では子どもに学びはありません
将来、シニア期(大学生)になれば187cm(インカレ優勝した法政大学の増本選手)、2m(海外の選手)の選手と対戦することがあります
自身よりも20~30cmも身長の高い選手と対戦した場合に、どのくらい高く、遠くに打たなければいけないのかをその都度自ら考えなければいけません
論理的に考えることができない選手は、感覚的に打ちやすい高さでロブやクリアを打ち、相手に良い態勢で打たれて負けます
→ジュニア期に勝ててもシニア期では勝てない要因
論理的思考はバドミントンに限らず、社会に出て仕事をしていく上でも大切です
世の中には自身の力では変えられないことと、変えられることがあります
論理的思考はそれらを見極める視野の広さに繋がり、自身の力で変えられることに対して労力を費やすことを可能にします
バドミントンを通して何を学ぶかが重要であり、バドミントンが強いだけではお金は稼げません
子ども達が将来「社会で活躍できる」ようにするために、論理的思考を養う指導を行うことが重要です