多くのチームが存在すること自体は非常に魅力的です
さまざまな価値観や指導方針があるからこそ、多様な選手が育ち、競技全体が豊かになります
一方で、チームが増えることでチーム間の対立構造が生まれやすくなり、結果的に技術や戦術の発展が妨げられる可能性もあります
人は心理的に「自分のチーム(内集団)」と「他チーム(外集団)」を無意識に区別する傾向があります
例えば、国際大会では「日本代表」を応援し、他国の代表を“相手”として見ます
また、全国大会では「神奈川県代表」を応援し、他県の代表を“競争相手”と感じます
このように私たちは状況に応じて自然と内集団と外集団を区別して行動しています
こうした心理は人間として自然な反応ですが、時に「このチームは強い」「あのチームは守備が弱い」といった固定的な見方(ステレオタイプ)につながることがあります
その結果、練習や大会での協力・学びが生まれにくくなり、バドミントン界全体の発展に負の影響を及ぼすこともあります
<内集団の輪を広げる取り組み>
この課題を解決するポイントは、「内集団の輪を広げる」ことです
例えば、普段は異なるチームで活動していても、試合では混成チーム(単一のチーム名で出場)として挑戦するようにします
選手たちは他チームのメンバーと協力して目標を達成する経験を持ち、「自分のチームだけでなく、バドミントン全体の仲間」という意識が生まれます
心理学的にも、単なる接触よりも「協力経験を伴う関わり」が偏見や対立を減らす効果をもつことが知られています
さらに、こうした環境に専門的な知識や指導を組み合わせることで、選手の技術・戦術理解が深まり、成長を大きく促進することができます
単に競争や試合経験を積むだけでなく、理論や戦術の理解、効率的なトレーニング方法を学ぶ場をつくることは、ジュニア期の発達にとって非常に重要です
<チームとは「同じ行動をする集団」ではない>
ここで大切なのは、「チーム=同じ行動をする集団」ではないという考え方です
すべての選手が同じ方法で取り組む必要はなく、個々の環境や状況を尊重し、それぞれの特性を活かしていくことが大切です
その上で、共通の目標に向かって発展的な思考で協働していくことが、チーム力を高め、バドミントン界全体の成長につながります
この考え方を受け皿とするクラブを目指していきます
<法政クラブの取り組み方針>
- ・練習環境は各選手の状況を尊重
- ・大会は混成チームで協力して挑戦
- ・専門的な知識や指導で、選手一人ひとりの能力を最大限に引き出す
- ・個々の環境や特性を活かしつつ、発展的思考で協働し、チーム間の対立を減らす
こうした取り組みを通じて、ジュニア期からバドミントン界全体の発展を促すことができます
競争だけでなく、協力・学び・専門的指導・個々の状況を尊重した環境で、選手たちがより豊かな成長を遂げられるような活動をしていきたいと考えています
しかし、法政クラブだけでできることには限りがあります
それはどのチームにとっても同じです
より大きな発展を実現するためには、多くのチームや指導者、保護者、地域の方々が協働し、共通の方向を目指すことが重要です
バドミントンがさらに発展していくためにも、互いを尊重し合いながら「競うだけでなく、共に楽しめる環境」を築き、新たな思考で未来を切り開いていきたいと考えています